【病院】入院から退院までの一連の流れ「虚血性大腸炎」または「虚血性腸炎」の例

「虚血性腸炎」で入院することになった場合を例として、“初期症状→初診→入院→退院→通院”までの一連の流れを順を追って解説していきます。

入院手続きで必要なもの、検査、療養食、お薬などについても詳しく書いていきます。

初期症状

便が出るまで

日頃から慢性的に便秘気味で、市販の便秘薬を服用する日々。時間を気にせずにゆっくり用をたせるように、夕飯後に便秘薬を飲むことにしました。その日も、いつものように便秘薬を飲んで、便意をもよおすのを待つことにしました。

薬が効き始めて便意をもよおし、トイレに入ってはみたものの、便が出ません。少し腹痛を感じつつ便意はあるのに、便が硬くなっているようで、排泄がうまくできません。

1時間ほどトイレにこもり、だんたん腹痛の度合いが強くなる中、なんとか便を出すことができました。何度もいきみ、脂汗をかくほどでした。

※「虚血性腸炎」の発症には、便秘による腸管内圧の上昇や動脈硬化に伴う循環障害などが関与していると推測されます。

下痢と血便

便が出たあとも腹痛はおさまらず、また便意をもよおしてトイレへ駆け込むと、今度はひどい下痢におそわれました。それから何度も下痢便を繰り返し、徐々に血便へと変化していきました。吐き気も酷く、嘔吐も繰り返しました。

病院

病院へ向かうまで

これはやばいと思い、病院へ行くことを考えました。しかし、救急車を呼ぶと近所の目が気になります。どうしよう。そう思っている間も、血の混じった下痢に何度も見舞われます。

時間は夜遅くになり、時計の針は0時を回っています。

幸い車を運転できる家族がいたので、最寄りの「夜間休日救急診療所」へ駆け込むことにしました。

今回のモデルケースでは、この段階で救急車を呼ぶべきだったと、後になって思うはずです。もし、あなたが似た状況に陥った時には、早めに救急車を呼びましょう。

病院に到着、診察を受ける

「夜間休日救急診療所」へ到着し、受付へ向かいます。周りを見渡してみると、結構な人の数がありました。

受付を済ませ、家族に付き添われて待合室で待つ間、問診票に症状を書いていきます。問診票を書き終わったあとも、なお順番を待ちます。座っていることも辛い状態なため、家族が受付のスタッフにそのように伝えたところ、若干早く診察室の中に入ることができました。

空いているベットに横たわり待っていると、ようやく医師と対面することができました。問診票をもとに、より詳細な体の状態を伝えていきます。

血液検査とCT検査

酷い吐き気と下痢からくる脱水症状に陥ったため、点滴を打ってもらいました。それから腹部と肛門の触診、血圧の測定、血液検査、CT検査を受けることになりました。

CT検査(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)とは、X線を使って身体の断面を撮影する検査です。画像診断検査をより分かりやすくするために造影剤を注射します。

病名・症状

病名・病状:吐気 嘔吐 腹痛 血便

虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)の疑いが強いということで、そのまま緊急入院をすることになりました。かかる科は、「消化器内科」です。糖尿病も見つかった場合は、「内分泌内科」の医師にも診てもらうことになります。

虚血性腸炎は、大腸の粘膜の中の血管に十分な血液が通らなくなることで生じる病気です。血管に十分な血液が通らなくなることを虚血といいます。

一時的に虚血になるものの、その後回復する一過性型、腸管が狭くなってしまう狭窄(きょうさく)型、大腸が壊死してしまう(組織が死んでしまう)壊疽(えそ)型の3パターンに分けられますが、ほとんどの症例が一過性型です。

高齢者や、高血圧、糖尿病、腎臓病、動脈硬化、脳血管障害、心不全などの病気にかかっている方が発症しやすいといわれていますが、便秘や排便後に腸壁が強度に収縮することで血流障害が起こり、虚血になることもあるため、若年者で発症する場合もあります。

入院

入院の際に必要になるもの

  • 健康保険料
  • 入院誓約書
  • 入院保証金
  • 限度額認定証

「入院誓約書」は、入院をする際に署名する同意書です。

「入院保証金」は、5万円から10万円を病院に前もって預けるお金です。一般には、退院時に支払う医療費と相殺で精算されます。保証人を立てれば、入院保証金を不要としている病院もあります。

「限度額認定証」は、入院費を一定額に抑えるための書類です。入院が長引いたり、入院中に新たな病気が見つかり医療費が高額になってしまった場合に、支払いが一定の限度額にとどめられる制度です。一度全額を支払い、後で限度額を超えた分が払い戻されます。もしもの時のために事前に申請しておくことをお勧めします。

入院セット

基本セット、オムツセット、日用品セット、口腔ケアセットなどを「入院セット」としてレンタルすることができます。セット内容と金額(税抜き)の例は以下を参考にしてください。

  • 基本セット 1日 320円
    パジャマ(上衣、下衣)又は浴衣、バスタオル、フェイスタオル
  • オムツセット 1日 450円
    紙オムツ、(テープ止め、パンツタイプのどちらか)、尿取りパッド、お尻拭き
  • 日用品セット 1日 200円
    吸い飲み又はマグカップ、歯ブラシ、歯磨き粉、BOXティッシュ、ボディソープ、リンスインシャンプー、カミソリ、ヘアブラシ、マウススポンジ、スリッパ、食事用エプロン(ディスポ)、紙おしぼり
  • 口腔ケアセット 1日 55円
    歯ブラシ、紙コップ、マウススポンジ

今回のモデルケースでは、「基本セット」のパジャマは一日に何度着替えても、何枚タオルを使っても定額料金としています。

入院中は経済的な負担も大きくなるため、自前で用意できるものは用意することになると思いますが、都度パジャマを洗濯して持ってきてもらうのは大変だと思うので、「基本セット」のみ利用をお勧めします。上記以外で他に必要なものとしては、耳かきや爪切りなどが挙げられます。

入院中の一日の流れ

1~2日目
入院初日。引き続き点滴を打ち安静にします。嘔吐と血便の下痢で眠ることができず、倦怠感に悩まされます。体は朝拭いてもらえるので、最低限の清潔を保つことができます。

2日目になると、嘔吐をしても胃液も出なくなります。

3日目
点滴、吐気、血便の下痢の症状はなおも続く中、胃カメラで上部消化管の観察をします。先端にビデオカメラの付いた内視鏡と呼ばれる細い管を、口あるいは鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を観察。また、腹部のエコー検査も受けます。

十二指腸の粘膜が炎症により荒れてる以外は、特に問題がないということでした。

4日目
大腸検査を受けるため、朝から希釈した下剤と大量の水を飲んで腸を空っぽにして検査に備えます。吐気と下痢はだいぶおさまりましたが、倦怠感は続いています。

夕方頃になると便が透明に近づいたので、大腸検査を受けることになりました。内視鏡を肛門から挿入し、大腸を満遍なく観察します。必要があれば組織検査を行います。

幸いにも癌、ポリープ、腫瘍などは見られず、炎症により荒れている以外は問題がないということでした。

5日目
朝、点滴が外されて、流動食に切り替わりました。具のない水っぽいお粥、豆腐、牛乳、味噌汁など。

血便の血の色はだいぶ薄くなり、昼頃には便に血が混じることはなくなりました。

6日目
腸内の有害な菌の増殖を抑えて細菌のバランスを正常に整える錠剤を、朝・昼・夕食後に服用。

吐気はおさまり、下痢の回数もだいぶ減りました。流動食から徐々に固形物の量を増やしていきます。少し具のあるお粥、鮭のあんかけ、大根と人参を一欠片ずつの煮物など。

7~8日目
症状が軽くなってきたので、暇つぶしにテレビを見る余裕が出てきました。病院ではテレビカードを購入して視聴するのが一般的です。

このまま快方に向えば、明後日には退院できることになりました。

9日目
退院後の日常生活に向けて、食事療法の説明を受けます。資料はもらえると思いますが、口頭での細かい説明も含まれるため、面会者にメモを取ってもらうことをお勧めします。

10日目
お粥の米の量が増え、おかずの品数も増えました。お粥、鶏肉と人参の炒め物、キノコと小松菜の和え物、大根の煮物、ヨーグルトなど。

朝食後、退院。

入院費

10日間の入院や検査の費用は、今回のケースですと5万円ほどになると推測されます。入院費は、入院の受付時に預けた「入院保証金」から支払われます。

例えば、「入院保証金」が5万で、掛かった入院費が5万5千円だった場合は、不足分の5千円を追加で支払います。もしも入院費が4万円だった場合は、1万円は戻ってきます。

退院後の経過観察と通院

入院9日目に説明を受けた療法食の説明を参考にして、徐々に胃を慣らしていきます。入院前の状態に戻るには、入院期間の倍を要すると言われることもあります。

退院の時に、次に来院する際の予約を取ることになると思うので、それまで自己管理をしながら経過観察をします。何度か通院することになると思います。

まとめ

以上が初期症状が現れてから入院・退院まで一連の流れになります。不規則な生活や食事バランスが乱れている方は、いつかその反動が返ってきます。このブログ記事を通じて、意識的に健康のことを考える機会に繋がればよいなと思います。

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