お米の銘柄一覧

Gourmet(グルメ)
Point
日本で主食として食べられているお米(うるち米)の品種について書いていきたいと思います。

普段、何気なく値段を見てお米を購入している方もいるかと思います。しかし、色々食べ比べてみると、その美味しさを再認識できたり自分の好みを知ることもできます。また、自分の出身地あるいはゆかりのある地域が産地のお米を意識してみると愛着も湧いて、食への関心や感謝も深まります。

お米の分類方法

栽培の面から分類

お米(稲)は、人間が利用している「栽培種」と、利用していない「野生種」に大きく分けられます。

栽培種は、「アジアイネ」と「アフリカイネ」に分けられ、現在世界中で栽培されている稲の大半はアジアイネの仲間です。

そのアジアイネを区分すると、「ジャポニカ種」「インディカ種」の2つに分けられます。

日本ではほとんどジャポニカ米しか生産されていませんが、世界的な生産量でみるとインディカ米が約80%と圧倒的なシェアを占めており、ジャポニカ米のシェアは約20%です。

生態からの分類

【ジャポニカ種】(日本型)

  • 温帯ジャポニカ
    日本人が多く口にするお米です。形は丸みを帯びた楕円形をしていて長さもあまりない品種が多いことから、短粒種と呼ばれるお米になります。日本で栽培されているお米のほとんどが、このジャポニカ米になります。炊くと粘りと艶が出るのが特徴です。

    ※ ジャポニカ米とインディカ米は籾の粒型によって分けられるという認知が広く浸透しています。ただし実際には、ジャポニカ種には長粒品種と短粒品種が混在しており、短粒品種をジャポニカとする従来の認知は必ずしも正しくありません。

  • 熱帯ジャポニカ種(ジャワ型)
    ジャバニカ種と呼ばれることもある。アジアの熱帯高地、アメリカ、ブラジル、イタリア、スペインやアフリカに多いお米です。幅が広く、大粒なのが特徴。ジャバニカ米も熱を加えると粘り気が出ますが、ジャポニカ米ほどではありません。そのためリゾットやパエリアにすると美味しいお米といえます。

【インディカ種】(インド型)

日本国内で俗に「タイ米」と呼称されます。中国の中南部・タイ・ベトナム・インド・マレーシア・バングラデシュ・フィリピンやアメリカ南部などで主に作られ、生産量は世界で最も多いお米です。米粒が細長くアミロース含量が高くて粘り気が少ないものが多く、炊くとサラサラとしているのが特徴です。パラパラした食感のチャーハンやピラフ、カレーなどに合います。

Point
アジアイネの区分は、「ジャポニカ種 (温帯ジャポニカ種)」「インディカ種」「ジャバニカ種 (熱帯ジャポニカ種)」の3つに分けられることもあります。

しかし、最近の遺伝子学研究では、「ジャポニカ種」と「インディカ種」の2つに分けられ、更にジャポニカ種の亜種として「温帯ジャポニカ種」と「熱帯ジャポニカ種 (ジャバニカ種)」の2つに区別されています。

水稲と陸稲による分類

アジアイネは、水田で育つ「水稲 (すいとう)」と、畑でも育つ「陸稲 (りくとう / おかぼ)」に分けられます。

日本では水田で稲を育てる水稲栽培が主流です。畑よりも、水田の方が品質が高く収穫量が多いため、定期的な雨量のある日本では、水路が発達して広範囲で田んぼが作られるようになりました。また、水田による稲作は、他の穀物の畑作に比べ、連作障害になりにくいという理由もあります。

水稲と陸稲にはそれぞれ、うるち米ともち米が存在します。

デンプンの性質から分類

お米は、ほとんどがでんぷん質から成るのですが、お米のでんぷん質には「アミロース」「アミロペクチン」という2つの種類があります。粘りと硬さは、この2種類のでんぷん質の比率で決まります。

一般的にアミロースが少ない方がもちもちになり、多い方がパラパラになります。アミロースの含有量が少ないほどおいしいというわけではありませんが、良食味の要素の一つです。

例えば、もち米はアミロースを全くあるいはほとんど含みませんし、インディカ米(タイ米)などはアミロースが多くパラッとしています。

「うるち米」と「もち米」

主食のごはんとして普段食べているお米のことを「うるち米 (粳米)」といいます。これに対して「もち米 (糯米)」は、お餅やお赤飯、おこわなどに使われるお米で、うるち米が半透明なのに比べ、もち米は白く不透明で丸みがあり見た目も違いますが、大きな違いはでんぷんの成分にあります。

もち米の品種で有名なものは、「トヨハタモチ」「キヨハタモチ」「ゆめのはたもち」などで、それぞれ茨城県、栃木県を中心に作られています。

なお、インディカ種にも、ジャポニカ種にも、それぞれ「うるち米」と「もち米」があります。

インディカ米には、米粒が細長くアミロース含量が高くて粘り気が少ないものが多い。しかし、アミロペクチン含有量の高いもち米も存在します。

うるち米はアミロース15%〜35%、アミロペクチンが65%〜85%です。品種により比率は異なります。

品種別のアミロース含有量の例
ササンニシキ約20%・コシヒカリ約15%・ミルキークィーン約10% 、また約24%以上のお米は高アミロース米と呼ばれます。

アミロースが多いと、GI値(血糖値の上昇率)が低く、血糖値の上昇が穏やかになり、体への負担が少なく優しいと言われています。

日本のお米の品種と特徴

日本各地では、それぞれの地域の気候や風土に合わせたお米が生産されていますが、実は同じ品種でも産地によって違いが現れます。それは、気候・土壌・水などによる影響です。

  • 昼夜の寒暖差が大きいと、粘りと甘味が強くなる。
  • 土壌にミネラルが豊富だと旨味が増す。
  • 水がきれいだと味だけでなく、香りも良くなる。

「コシヒカリ」は全国各地で育てられている人気が高い品種ですが、特に新潟県産のコシヒカリは、コシヒカリの中でも高評価を得ています。新潟県は、信濃川や阿賀野川などの河川により稲作に必要な水が十分に確保することができることに加えて、稲作に適した土地や天候に恵まれていることから、ほかの産地のコシヒカリと比べ粘りと甘みが強い特徴があります。

新潟県魚沼産「コシヒカリ」


日本で作付されるお米の3割半ばを占めており、誰もが知る美味しいお米の代表格。適度な粘りを持ち、柔らかく、しっかりした味わいで、一噛みでうま味がはじけます。

コシヒカリは、ハンバーグや唐揚げなど味の濃い料理には抜群に合います。冷めても硬くなりにくく、また旨みを感じやすいです。おにぎりやお弁当など、冷めても美味しく食べたい料理には最適です。

粘りが強く酢と混ざりにくいため、酢飯には不向きです。また、パラパラのチャーハンにも不向きですが、しっとりしたチャーハンや混ぜご飯が好みの方にはマッチします。

品種の名付けの際には、コシヒカリの収穫前の穂の色、玄米の色やご飯の色がひときわ美しいことから、文字通り「越の国(=北陸)に光り輝く品種」となることを期待して「コシヒカリ」と名付けられたそうです。

いもち病に弱く、穂の背丈も高くて倒伏しやすい欠点がありましたが、「栽培法でカバーできる欠陥は致命的な欠陥にあらず」という熱意と意欲で、作付け奨励品種に定めたのが新潟県と千葉県でした。

北海道産「ゆめぴりか」


「ゆめぴりか」は、北海道で生まれたお米です。北海道と言えば一大農産地ですが、その冷涼な気候ゆえに小麦の栽培には適しているものの、お米の栽培は難しいと言われてきました。そこで冷涼な北海道の気候に合うように品種改良されたのがゆめぴりかでした。

北海道の念願である “日本一の美味しいお米を作る” という「ゆめ」と、アイヌ語で “美しい” と言う意味を持つ「ぴりか」を合わせて「ゆめぴりか」と名付けられました。

数多の試行錯誤の結果、コシヒカリやあきたこまちなどの「美味しさ」を特徴とするお米を何度となく交配し、圧倒的な美味しさを持つゆめぴりかが誕生しました。

2009年から市場に出回った新進気鋭の品種ですが、すでにその美味しさが認められ、料亭などの高級飲食店はもちろん、全日空国際線のファーストクラスの機内食としても採用されている程です。

ゆめぴりかは、アミロース含有率が他のお米よりも低く、強い粘りと甘みが特徴です。タンパク質の含有量も比較的低く柔らかいという特徴もあります。故にゆめぴりかは、炊き上がりにツヤがあり、もっちりと柔らかくて美味しいお米といえます。

和食はもちろん洋食など幅広い料理に良く合うお米です。特に肉料理や煮物などの味付けが濃い料理との相性が良く、粒もシッカリしていて食べ応えがあるので、おかずの存在感に引けを取りません。また、冷めても美味しいお米です。冷めると、もちもち感と粒感がさらに際立つので、おにぎりにはぴったりです。

山形県産「つや姫」


山形県を代表するブランド米のつや姫は、水稲品種「亀の尾」を品種改良して作られました。その名の通りツヤがあり、真っ白い美しいお米です。秀峰鳥海山から流れる清流と県内を流れる最上川の下流に位置する庄内エリアと置賜エリアで主に作られています。

つや姫は、明治時代に山形県庄内町(旧・余目町)の篤農家の阿部亀治氏によって開発された「亀の尾」というお米をルーツとしています。

この亀の尾は、庄内平野がひどい冷害だった年に阿部亀治氏によって発見された1本の穂に始まったとされています。このような背景から当初は冷害や病気に強い品種として期待されていましたが、時代と共にお米の生産過剰と食味志向が高まったことから、「亀の尾」は品種改良の交配親として盛んに用いられるようになり、その良食味性が「コシヒカリ」「はえぬき」「あきたこまち」などに引き継がれました。

美味しいとされる銘柄米には亀の尾の血統が引き継がれた品種がたくさんありますが、その中でも優れた美味しさで作付けが急拡大したコシヒカリによって、山形県の代表品種ササニシキの人気に陰りが出始めてきたことが生産者始め山形県としては、大きな不安材料となっていました。

「コシヒカリ」をも凌ぐ日本一の美味しいお米の一日も早い開発が求められていました。

そして、山形県で食味日本一を目指し、1998年(平成10年)から約10年の歳月をかけて開発されたのが「つや姫」です。

お米のおいしさを評価する日本穀物検定協会や農業総合研究センターによれば、旨み成分であるグルタミン酸やアスパラギン酸の含有量が非常に多く、美味しいお米の代名詞であるコシヒカリよりも多く含まれていて、「つや姫」は甘みや旨味、ツヤといった項目で、コシヒカリを上回る評価を受けています。

炊き上がりは白くツヤがあります。適度な粘りと程よい甘みのバランスがよく、さっぱりした食感です。あっさりした味付けの日本食のおかずと相性がよく、お米の味がより引き立ちます。

また、白さや炊き上がりの艶など見た目の良さにも定評があり、美しく美味しいお米として評価が年々、高まっています。あまりの人気ぶりに山形県以外での生産がはじまり、島根県や宮城県なども本格的に取り組みがはじまりました。栽培の面積も全国的に拡大しています。

秋田県南産「あきたこまち」


1984年に秋田県で誕生した「あきたこまち」。コシヒカリと奥羽292号を掛け合わせ、寒さ厳しい秋田の気候に適した品種として開発されました。名前は、秋田で生まれたと伝えられる絶世の美女「小野小町(おののこまち)」にちなんでおり、その名のとおり”秋田美人”のような美しいお米です。

炊き上がりのツヤや光沢がよく、米粒にはしっかりした粒感があり、柔らかくなり過ぎないのが特徴。粘りはやや弱めで、味はコシヒカリよりはあっさりしています。和食によく合います。冷えてもおいしさが損なわれず、モチモチとした食感ながら、やや硬めに炊き上がるので、おにぎりやお弁当、丼物などにも向いています。

秋田で開発されたあきたこまちですが、種苗法による品種登録がされていないため、秋田県以外にも岩手県や茨城県、愛媛県といった他県でも広く栽培されています。ただし名産地といえば、やはり秋田県です。なかでも横手地区は、県南の横手盆地に位置し、盆地特有の昼間は暑く、夜は涼しいという「おいしいお米」ができる好条件に恵まれた県内屈指の肥沃な穀倉地帯です。

宮城県産「ひとめぼれ」


母親「コシヒカリ」、父親「初星 (はつぼし)」の掛け合わせで、宮城の気候風土に合わせて育種されたお米です。栽培のしやすさなどから今では、全国各地で栽培されています。

名前の由来は、「つやのある美しさとさっぱりとした美味しさに “ひとめぼれ”」です。

1980年(昭和55年)、東北地方を襲った大冷害の影響を受けて、冷害に強い新品種の要望が高まり、翌年から宮城県にある古川農業試験場で新品種の育種が始まりました。美味しさと耐寒性に優れたお米の開発を目指して、コシヒカリと初星を交配させて作られた品種が「ひとめぼれ」です。1991年(平成3年)に誕生しました。

1993年(平成5年)に、東北地方は再び大冷害に襲われ、壊滅的な被害を受けたササニシキに代わるお米として、今まで新品種「ひとめぼれ」の作付けには消極的だった宮城県内の農家も栽培すようになり、一気に普及していきました。現在では、コシヒカリ譲りの味の良さと、栽培が比較的簡単なことによって東北などの寒冷地以外でも作付けされており、北は青森から南は沖縄まで広い地域で栽培されています。

コシヒカリの食味や香り、粘りを受け継ぎながらも、コシヒカリほど味が濃くなく、さっぱりとした味わい。値段も比較的リーズナブルです。

お米にツヤがあり、適度な粘りとサッパリとした口あたりのお米です。粘り・つや・うま味・香りのバランスが良いため、いろいろな料理にぴったり。料理の幅を広げてくれるオールマイティーなお米です。また、冷めてもおいしいため、お弁当にも向いてることも嬉しいポイントです。

山形県産「はえぬき」


ササニシキの後継品種を目指し、山形農業試験場庄内支場で「秋田31号 (あきたこまち)」と「庄内29号」を掛け合わせ、1990年「山形45号」として誕生しました。1991年に公募した名称を基に、「はえぬき」と命名され、1993年に品種登録されました。

※ 公募では「えりぬき」と「だんとつ」が選ばれ、少しひねりを加えて最終的に「はえぬき」と「どまんなか」の2品種の名称に決まりました。

名前は「生え抜き」という言葉に由来しており、”山形で生まれ山形で育つ” という意味が込められています。

山形県の代表的なお米「はえぬき」。知名度は低いですが、冷えても味が落ちにくいので、セブンイレブンのおにぎりに多く使用されていると言われています。発売以来連続して最高食味ランクの特Aに輝いており、魚沼産コシヒカリに全く引けを取らない美味しさを誇ります。近年Aランクに落ち着いていますが、それでもやはり日本でトップクラスに美味しいお米であることは間違いありません。

はえぬきは山形県の気候や風土に合わせて開発されたお米ですので、「日照時間」「昼夜の寒暖差」などの条件が山形県独特の風土に最適化されていることから、他の地域では山形県程の品質に育たない為と言われています。一方で、山形県外での生産がほとんど無いので知名度が低く、品質の割に安価なお米という特徴があります。

米の一粒一粒がしっかりとしているのが特徴で、弾力感のある歯ごたえが魅力です。甘みは控えめであっさりとしているので冷めても美味しく、お弁当やおにぎりなどと相性が非常に良いです。

粘り気が少なくべっとりとしないので冷めても美味しく、お弁当やおにぎりに特に向いています。セブンイレブンのおにぎりに「はえぬき」が使われているのも、美味しくて安いという点が大きいと考えられます。

コシヒカリのような強い味ではないので、いろんな料理との相性が良く、薄味の和食から、濃い味付けの洋食まで幅広いおかずとの相性が良いです。

宮城県産「ヒノヒカリ」


東の横綱「コシヒカリ」、西の横綱「ヒノヒカリ」と呼ばれるほどの生産量を誇ります。多くの府県で奨励品種に指定されており、九州を中心に中国・四国地方や近畿地方など西日本で広く栽培されています。

  • 1979年から宮崎県総合農業試験場で研究が始まる。
  • 選抜されたいずれの系統も食味のレベルは高く、なかでも後に「ヒノヒカリ」となった「み系451」という番号が付けられた系統の食味は、最上級のコシヒカリと同レベル。深みのある光沢をもち、強い粘り気、味わいでも遜色なかったという。そして、み系451は「南海102号」という地方系統名が付けられた。
  • こうして「ヒノヒカリ (南海102号)」は、父に「コシヒカリ (越南17号)」、母に「黄金晴 (愛知40号)」をかけあわせて誕生し、1989年に水稲農林299号「ヒノヒカリ」として命名登録され、翌1990年に種苗法による品種登録がなされた。
  • 名前の由来は、「日 (太陽)」が西日本(九州)を表し、飯米が太陽のように光り輝くさまから。

粒の大きさはやや小粒ですが、厚みがあって食べ応えは抜群。食味は極良であり、上の中に区分されます。もちもち感としっかり感はあるのに味を主張しすぎないので、どんなおかずにもぴったり合わせることができるオールマイティーさが特徴です。

ヒノヒカリは、関東以北ではあまり聞きなれないお米ですが、九州地方では常用米として人気があります。

Point
梅雨明けから始まる猛暑、長引く残暑という温暖化に見舞われている近年、「ヒノヒカリ」の品質に不安が見え隠れしている。そのため、各県の農試や九州農試が「ヒノヒカリ」と同等の良食味をもち、高温耐性がある米の育種に取組み、実際に新品種として徐々に作付けされるようになってきている。

九州農試では「にこまる」、熊本では「くまさんのちから」、宮城では「おてんとそだち」などといった品種を、ヒノヒカリに変わる品種としてデビューさせている。しかし、一時代を築き上げた「ヒノヒカリ」の人気は今だ健在で、次代を担う品種はなかなか作付面積を伸ばすまでに至ってないのが現状。

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