【キャッシュレス 6】iPhoneの「Wallet」アプリ内の「Apple Pay」と「パス」機能について

Wallet(ウォレット)とは?

iOS9 からApple Payと呼ばれる新たな決済方法が搭載されると共に iOS8 まであった Passbook の機能がApple Payと統合されたのが「Wallet」です。

Apple Pay(アップルペイ)

公式URL:http://www.apple.com/jp/apple-pay/

アメリカ合衆国では2014年10月20日、iOS9 リリース時から利用できましたが、日本でのサービス開始は2016年10月25日、iOS10.1 のアップデート以降です。海外ではNFC Type A/Bを利用してサービスを提供していますが、日本国内のApple PayにはFeliCaが使われています。

2017年9月からは、iD/QUICPay 経由でのFeliCa決済に加えて、直接、欧米で用いられている NFC A/B によるコンタクトレス決済をすることができ、日本だけではなく、世界でもシームレスにサービスを受けることができるようになりました。

機能

「Wallet」アプリ内には、電子マネー決済を管理する「Apple Pay」と搭乗券やポイントカードを管理する「パス」という機能があります。

3つの電子マネーに対応
  • モバイルSuica
  • iD
  • QUICPay

支払いの方法は iTunes 決済用口座からの引き落とし、または電子マネー(モバイルSuica、iD、QUICPay)に紐付けられたクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードから選べます。

日本で発行するクレジットカードは、FeliCa規格の非接触型決済プラットフォームである iD および QUICPay のいずれかに紐付け可能なものに限られ、それぞれの取扱店で利用可能となります。

Suicaサービスを利用するに当たって、アップルは自動改札機通過時に Touch ID/Face ID による生体認証が不要となる「エクスプレスカードモード」を導入しています。

対応機種

2016年9月16日に発売された日本向けモデルのiPhone7/7 Plus、Apple Watch Series 2 以降にFeliCaの読み取り機と信号をやり取りする ICチップが搭載されたことにより、Apple Payが使えるようになりました。さらに、世界標準モデル端末においても iPhone 8/8 Plus/iPhone X 及び Apple Watch Series 3 以降にFeliCa専用モジュールが搭載されています。

謎仕様

実は、日本版と海外版の全世界モデルの iPhone7/7 Plus、Apple Watch Series 2 において NFC Type-A/B/FeliCa 対応チップ「67V04」が既に搭載されていました。つまり近接無線通信のハードウェアチップは同一でありながら、あくまでソフトウェア的に海外版では FeliCa による Apple Pay を利用できない仕様に、日本版では NFC-A/B によるApple Payを利用できない仕様になっていたのです。

おそらく FeliCa対応モジュールに万が一不具合があった場合を考慮し、日本国内だけで対処できるように緩衝機として設けられたのではないかと思われます。

Suica(スイカ)

Apple PaySuicaの残額や定期券の情報を読み取り、情報を読み取った後のカード型Suicaは、一切の使用ができなくなります。カードのデポジット500円分は、読み取り時にチャージ残額へ上乗せして返却されているため、駅窓口に返納する必要はなく、自身で処分することになります。また、既存の Android 端末からのモバイルSuica引き継ぎも可能です。

もし iPhone や Apple Watch を紛失してしまっても、Suica の残額を回復することができます。「iPhoneを探す」を使ってすばやく紛失モードにすると、Apple Payの使用を一時的に止めることができます。これに加えて、デバイスを遠隔消去することも、 appleid.apple.com にサインインしてカードをリモートで削除することもできます。

日本への対応

海外の主流は NFC-A/B ですが、日本の主流は FeliCa です。ここで規格の違いが問題となり、FeliCa を利用したサービスが圧倒的シェアを誇る日本では、Apple Payは使えないという状況でした。

FeliCa の機能性の高さや日本のマーケットの大きさを考慮した Apple は、日本向けモデルの iPhone7より FeliCa版のApple Payサービスをスタートしました。この時点では世界標準モデルの iPhone7 は FeliCa未対応なので、その端末を持った外国人旅行者は日本でApple Payを使うことはできませんでした。

次に発売された iPhone X では、日本向けモデル・世界標準モデルのすべての iPhone X に NFC-A/B と FeliCa が搭載されました。これにより問題が解消され、日本でも海外でもApple Payが使えるようになりました。

Apple Payの支払方法

会計時に、「Apple Payでお願いします」と言っても伝わりません。「Suica、iD、QUICPAY」のいずれかを指定して伝えましょう。

例として、「クイックペイで支払います」と伝えたとします。店員さんが読み取り機を操作して準備が整ったら、Touch ID に指を乗せ、iPhone の先端を読み取り機にかざします。すると、「Wallet」が自動的に起動し、認証と決済がほぼ同時に行われ決済が完了します。必ず決済完了の音が鳴ったことを確認してください。

読み取り機に iPhone をかざした後に指紋認証(または顔認証)をすると支払いができる仕様ですが、上記のように指を乗せたままかざす方法が手順を短縮できてスマートです。

ホームボタンのないiPhone Xの場合

サイドボタンをダブルクリックすると、メインカードとして設定しているカードが選択された状態でApple Payが起動します。メインカード以外に変更したい場合は、メインカードをタップするとApple Payのカード一覧が表示されるので、使用したいカードを選択します。そして「Face ID」認証をして読み取り機に iPhone をかざして決済をします。

Apple Payのエクスプレスカードに Suica を設定している場合、基本的にサイドボタンの2回押しも認証も必要ありません。駅の改札同様、ほとんどのコンビニでも iPhone をかざすだけで決済が完了します。

海外でApple Payを使う

設定を変えることなくそのまま海外でも使えます。ヨーロッパのお店ではよく見かける、NFC決済とクレジットカード決済の両方に対応した決済端末の場合は、「クレジットカードで支払う」と伝えた後はApple Payで支払うのか、それともクレジットカードで支払うのかは私たち次第です。

まとめ

2020年東京オリンピックに向けて小売店のリーダー/ライターの性能が向上していき、Android端末でもiPhoneのように ICチップが拡張されれば規格の垣根無しに通信や決済が可能となり、より便利になるのではないかと思われます。(東京五輪は2021年へ延期になりました)

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