令和元年度税制改正による自動車取得税の廃止と「環境性能割」の導入・エコカー減税・グリーン化特例

令和元年度税制改正により、毎年4月1日に課税される自動車の排気量等に応じて毎年かかる自動車税は「自動車税(種別割)」に、軽自動車税は「軽自動車税(種別割)」に名称が変更され、税率は引下げられます。また、自動車の購入時に課税される自動車取得税は廃止され、代わりに「環境性能割」という制度が新たに導入されます。

自動車にかかる税金

  • 自動車取得税
  • 自動車税
  • 自動車重量税

自動車取得税

取得税は50万円以上の車を購入する際に、消費税と同じように必ず支払う必要がある税金です。

税率は、新車であれば自家用普通車なら3%、軽自動車と営業車なら2%です。中古車の場合は、残価率を用いて算出します。

自動車税、軽自動車税

「自動車税」は、車の保有中にかかる税金です。購入時には発生しません。毎年4月1日時点の所有者に課税され、1年分の自動車税を前払いの形で支払うことになります。毎年5月の初めごろに納税通知書が登録住所に届き、納付期限は原則として5月31日(青森県と秋田県は6月末が期限)です。

軽自動車の場合は「軽自動車税」という名称になります。

税率は車の区分と排気量によって決められます。

自動車税
排気量 13年未満 13年経過
1000cc未満 29,500 34,000
1000以上~1500cc未満 34,500 40,000
1500以上~2000cc未満 39,500 45,500
2000以上~2500cc未満 45,000 52,000
2500以上~3000cc未満 51,000 59,000
3000以上~3500cc未満 58,000 67,000
3500以上~4000cc未満 66,500 76,500
4000以上~4500cc未満 76,500 88,000
4500以上~6000cc未満 88,000 101,500
6000cc以上 111,000 128,000

自家用乗用軽自動車であれば、税額は毎年一律、2015年3月31日までに購入した軽自動車ならば7,200円、2015年4月1日以降に購入した軽自動車はならば10,800円(13年経過:12,900円)になります。

13年未満の税金と比較すると軽自動車が20%、それ以外は15%増税されています。当然、排気量が大きくなるほど金額も高くなり、かなりの負担になることがよくわかります。新車で購入する場合、「13年」という期間が乗り換え時期のひとつの目安となります。

2019年10月1日以降、自動車税は「自動車税(種別割)」に、軽自動車税は「軽自動車税(種別割)」に名称が変更されます。

また、2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた車から、自動車税(種別割)の税率が引き下げられます。なお、軽自動車税(種別割)の税率は、変更されません。詳細は後述「自動車税(種別割)の税率引下げ」をご覧下さい。

自動車重量税

重量税は、車の新規登録と車検の際に、車検証の有効期限分を支払う税金です。車の区分や重量、経過年数によって税額が決まります。

自家用普通車であれば、車両の重量が0.5t(500kg)ごとに税額が変わります。なお、車の新規登録から13年以上経過すると税額が上がり、さらに18年以上経過するとまた税額が上がります。

車両重量 13年未満 13年経過 18年経過
0.5トンまで 8,200 11,400 12,600
1トンまで 16,400 22,800 25,200
1.5トンまで 24,600 34,200 37,800
2トンまで 32,800 45,600 50,400
2.5トンまで 41,000 57,000 63,000
3トンまで 49,200 68,400 75,600

軽自動車の場合は、重量に関係なく税額は定額の6,600円(13年経過:8,200円、18年経過:8,800円)となっています。

また、現在は取得税・自動車税・重量税の特例措置として、「エコカー減税」という制度があります。これは、各車の性能を、国土交通省が定める排出ガスや燃費の基準と比較して、その基準より大きく上回っている車の税金を一部免除するという制度です。

2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります

令和元年度税制改正により、毎年4月1日に課税される自動車税や自動車の購入時に課税される自動車取得税について、2019年10月1日から新制度が適用されます。2019年10月といえば、消費税が8%から10%に上がるタイミングなので、増税にあわせての改正ということになります。

自動車取得税の廃止と環境性能割の導入

2019年10月1日から、今までの自動車取得税が廃止になり、代わりに「環境性能割」という制度が新たに導入されるようになります。

環境性能割とは、燃費性能が良く環境にやさしい車は税負担が軽く、逆に燃費性能が悪く環境にもよくない車は税負担が重くなる、というものです。エコカー減税とよく似ています。

取得税と同じく、車を購入するときにかかる税金で、環境性能割の税率は、自動車の燃費性能等に応じて、自家用の登録車は0~3%、営業用の登録車と軽自動車は0~2%になります。新車・中古車を問わず対象です。

環境性能割も、エコカー減税のように、国土交通省の定めた燃費基準を大きく上回ると、100%の減税となります。

また、導入から1年間(2019年10月1日~2020年9月30日)は、環境性能割の税率が1%軽減されることになっています。

しかし、消費税が増税される2%の方が負担が大きいので、お得感はあまりありません。さらに言えば、新型の燃費性能が良い車であれば、自動車取得税も元から免除されているので、ただ消費税が増えることになってしまいます。

また、エコカー減税についても問題があります。2019年以降も、エコカー減税は2年間延長されますが、エコカーの定義と減免率がより厳しくなります。

環境性能割の税率(乗用車の例)
燃費性能等 税率
自家用 営業用
登録車 軽自動車
電気自動車等 非課税 非課税 非課税
★★★★かつ2020年度燃費基準+20%達成車
★★★★かつ2020年度燃費基準+10%達成車 1.0%
★★★★かつ2020年度燃費基準達成車 2.0% 1.0% 0.5%
★★★★かつ2015年度燃費基準+10%達成車 3.0% 2.0% 1.0%
上記以外 2.0%
※ 4つ星マークのステッカー(環境ラベル)が付いた車は、自動車排出ガスがNOx、PM等の有害物質の排出を平成30年排出ガス基準50%低減達成車又は平成17年基準値より75%以上低減した自動車であるとして、低排出ガス車認定制度に基づき認定を受けた車であることを示すものです。

環境性能割の臨時的軽減

2019年10月1日から2020年9月30日までの間に自家用の乗用車(登録車・軽自動車)を購入する場合、環境性能割の税率1%分が軽減されます。

環境性能割の臨時的軽減による税率

登録車(自家用の乗用車)
対象車 通常の税率 臨時的軽減後の税率(2019年10月1日から2020年9月30日までの間)
電気自動車等 非課税 非課税
★★★★かつ2020年度燃費基準+20%達成車
★★★★かつ2020年度燃費基準+10%達成車 1.0% 非課税
★★★★かつ2020年度燃費基準達成車 2.0% 1.0%
上記以外の車 3.0% 2.0%
軽自動車(自家用の乗用車)
対象車 通常の税率 臨時的軽減後の税率(2019年10月1日から2020年9月30日までの間)
電気自動車等 非課税 非課税
★★★★かつ2020年度燃費基準+10%達成車
★★★★かつ2020年度燃費基準達成車 1.0% 非課税
上記以外の車 2.0% 1.0%

自動車税(種別割)の税率引下げ

2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用の乗用車(登録車)から、自動車税(種別割)の税率が引き下げられます。なお、軽自動車税(種別割)の税率は、変更されません。

※ 2019年10月1日以降、自動車の排気量等に応じて毎年かかる自動車税は「自動車税(種別割)」に、軽自動車税は「軽自動車税(種別割)」に名称が変更されます。
2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用の乗用車(登録車)の自動車税(種別割)の税率表
排気量 引下げ前の税率 引下げ後の税率 (引下げ額)
1,000cc以下 29,500円 25,000円(▲4,500円)
1,000cc超1,500cc以下 34,500円 30,500円(▲4,000円)
1,500cc超2,000cc以下 39,500円 36,000円(▲3,500円)
2,000cc超2,500cc以下 45,000円 43,500円(▲1,500円)
2,500cc超3,000cc以下 51,000円 50,000円(▲1,000円)
3,000cc超3,500cc以下 58,000円 57,000円(▲1,000円)
3,500cc超4,000cc以下 66,500円 65,500円(▲1,000円)
4,000cc超4,500cc以下 76,500円 75,500円(▲1,000円)
4,500cc超6,000cc以下 88,000円 87,000円(▲1,000円)
6,000cc超 111,000円 110,000円(▲1,000円)

エコカー減税・グリーン化特例

2019年度の税制改正に伴い、エコカー減税・グリーン化特例も見直されました。このうちエコカー減税で「自動車取得税」の軽減率が2019年4月1日より変更。同5月1日には自動車重量税の軽減率が変更されました。

従来であれば、2年ごとのエコカー減税の改正スケジュールでしたが、2019年は10月の消費税引き上げ実施に伴い、自動車取得税が廃止され、新たに新規取得時の環境性能割が導入されることになっています。自動車税については、このタイミングで新税制が適用されます。ただし、自動車税のグリーン化特例は現行制度が2021年3月31日まで延長します。

書いていて自分でも「ちょっと何言ってるか分からない」という状況は否めませんが、今回の改正で適用される2019年度のエコカー減税の改正のポイントをまとめていきたいと思います。

エコカー減税

エコカー減税は、CO2の排出量が少ない環境性能に優れた車への乗り換えを推進することを目的に、2009年にスタートしました。排出ガス性能および燃費性能に優れた自動車に対して、それらの性能に応じて、自動車重量税と自動車取得税を免税もしくは軽減するものです。減税対象車については適用期間中に対象車両を新車で新規登録を行った場合に限り、特例措置が適用されます。

自動車取得税のエコカー減税の見直し

2019年4月1日から同年9月30日までの間に購入する乗用車(登録車・軽自動車)及びトラック・バスについて、自動車の燃費性能等に応じて、購入時に課税される自動車取得税の税率を軽減するエコカー減税の軽減割合等が見直されました。

エコカー減税による軽減割合(乗用車の例)
燃費性能等 自動車取得税 自動車重量税
変更前(~2019年3月) 変更後(2019年4~9月) 変更前(~2019年4月) 変更後(2019年5月~2021年4月)
電気自動車等
★★★★かつ2020年度燃費基準+40%達成車
非課税 非課税 非課税 非課税
★★★★かつ2020年度燃費基準+30%達成車 80%軽減 50%軽減 75%軽減 50%軽減
★★★★かつ2020年度燃費基準+20%達成車 60%軽減
★★★★かつ2020年度燃費基準+10%達成車 40%軽減 25%軽減 50%軽減 25%軽減
★★★★かつ2020年度燃費基準達成 20%軽減 20%軽減 25%軽減 25%軽減
上記以外 軽減なし 軽減なし 軽減なし 軽減なし

グリーン化特例グリーン化特例(軽課)の見直し

消費税率引上げに配慮し特例が延長された後、2021年度及び2022年度に購入する自家用の乗用車(登録車・軽自動車)について、自動車の燃費性能等に応じて、購入した翌年度に課税される自動車税(種別割)及び軽自動車税(種別割)の税率を軽減する特例の適用対象が、電気自動車等に限定されます。

グリーン化特例(軽課)による自家用の乗用車(登録車・軽自動車)に係る軽減割合
自動車の燃費性能等 2019年4月から2021年3月までの間に購入した場合 2021年4月から2023年3月までの間に購入した場合
登録車 軽自動車 登録車 軽自動車
電気自動車等 税率を概ね75%軽減 税率を概ね75%軽減 税率を概ね75%軽減 税率を概ね75%軽減
★★★★かつ2020年度燃費基準+30%達成車 税率を概ね50%軽減 軽減なし 軽減なし
★★★★かつ2020年度燃費基準+10%達成車 税率を概ね50%軽減 税率を概ね25%軽減
新車新規登録等から一定期間経過した自動車に対して重課
ガソリン車、LPG車 13年超経過したものに対して概ね15%重課
ディーゼル車 11年超経過したものに対して概ね15%重課
バス、トラック 概ね10%重課

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